2026.07.10

「放置された土地」への法制度の処方箋

令和3年の民法改正では、所有者不明土地・建物について、発生の抑制、既存のものの解消、適正な活用を図ることが主要な目標とされました。相続登記の義務化や住所変更登記の義務化は、「発生の抑制」を目的とするものであり、問題の予防策に位置づけられます。

 

一方、すでに所有者が分からなくなっている土地への対応として、新たに創設されたのが、所有者不明土地・建物管理制度です。従来の不在者財産管理制度は、行方不明者の全財産を対象とするため、手続や費用の負担が大きいという課題がありました。これに対し、新制度は土地や建物に特化し、裁判所が選任した管理人が当該不動産を管理できる仕組みとなっています。

 

さらに、所有者は判明しているものの、擁壁にひび割れや破損が生じているにもかかわらず放置され、隣地に倒壊するおそれがあるケースや、ゴミが不法投棄された土地を所有者が放置し、臭気や害虫の発生によって健康被害が生じているケースなど、管理が行き届いていない土地については、管理不全土地管理制度により、適正な管理を確保する道が開かれました。

 

土地は個人の財産であると同時に、地域社会の基盤でもあります。これらの制度を通じて、「放置された土地」を「管理される土地」へと戻していくことが、これからのまちづくりに求められています。